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Collaboration across Japan, Central Asia, and Ireland
Echoes of Calling
– rainbow after –
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「異文化交流」の枠を超えた他者との「遭遇」が対話を生む!
ウズベキスタンより吟遊詩人「バフシ」、アイルランドより伝統歌「シャン・ノース」の歌姫、エチオピア出身のダンサーが来日し、2023年3月10日(金)〜12日(日)に東京芸術劇場にて最終公演「Echoes of Calling– rainbow after–」を開催
北村明子が4年に渡って取り組んできた長期国際共同制作の舞台プロジェクト『Echoes of Calling 』。2022年11月には、ウズベキスタン・アイルランドへの海外ツアーを経て2023年3月にいよいよ最終公演『Echoes of Calling– rainbow after–』を上演します。
この公演にあわせ、ウズベキスタンの伝統芸能、吟遊詩人「バフシ」であるアフロル・バフシやアイルランドの伝統歌として知られる「シャン・ノース」の歌姫、ダイアン・キャノン、10月にも来日したエチオピア出身アイルランド在住のダンサー、ミンテ・ウォーデが来日。これまでプロジェクトを共にしてきた、日本のダンスシーンの第一線で活躍するダンサー岡村樹、香取直登、 川合ロン、黒田勇、近藤彩香、西山友貴と共演し、他者との対話に身体で挑みます。ユーラシア大陸を横断するダイナミック、かつカオティックなパフォーマンスにご期待ください。
中央ユーラシアでは、古来シャマン(宗教的職能者。シャーマンともいう)が、この世界と異界とをつなぎ、託宣や占い、治療を行ってきた。中央ユーラシアのテュルク系諸民族にはシャマンを意味するさまざまな言葉があるが、そのうちのひとつがバフシ(バクス)である。バフシという言葉は、 モンゴル語のバフシ(教師)や神歌を語る朝鮮半島のパクス박수、さらに祈祷を行い、神霊を呼ぶ日本のハカショやハカセと同様に、漢語の「博士」に由来するものと考えられる。バフシは巫術の際に刀を飲み込んだり、斧で自分の胸を打ったりする。正気でなくなったバフシは倒れるが、しばらくすると起き上がり、神霊から賜った言葉を語るのである。
イスラーム化が進むと、バフシの「宗教的な」役割は次第に衰退していき、現在では、バフシ(バグシュ、バクス)という言葉は、ウズベク語やトルクメン語、カラカルパク語では「語り手」や「詩人」を意味するようになっている。だが、シャマニズム的要素はバフシの語る口承文芸・英雄叙事詩にも反映されている。異世界を冒険し、勇者へと成長したり、人々を救ったりする英雄叙事詩の主人公の姿はシャマンと重なって映る。英雄叙事詩の語りには、語り手と神々との対話の具現化という要素があった。語り手ははるかなる異世界の様子を聴衆の眼前に生き生きと描き出す。これらのことは、バフシがかつて、異界を巡るシャマンの役割を担っていたことの残像といえよう。語り手は、さまざまな知識や教訓、過去の出来事などを人々に伝える知識人でもあり、シャマンと同様に社会や共同体で敬意を払われる存在であった。口承文芸というメディアが失われつつある現在でも、バフシは叙事詩を語っている。また地域によっては、今も人々の治療にあたるバフシもおり、人々から篤い信頼を寄せている。シャマニズムはイスラームと習合するかたちで生き続けているのだ。バフシの文化はこの地域を理解する上で不可欠な要素なのである。(執筆:坂井弘紀(SAKAI Hiroki)/ 和光大学表現学部教授)
アフタートーク開催決定(3/11(土)13:00の回 終演後)のお知らせ
『Echoes of Calling – rainbow after –』アフタートークの開催が決定いたしました。
中央ユーラシアの歴史や文化について、口頭伝承、神話、英雄叙事詩などの精神文化をご専門とされる和光大学 教授の坂井弘紀氏をお迎えし、北村明子との対談を行います。公演とあわせてお楽しみください。
3/11(土)13:00の回 終演後
登壇者:坂井弘紀(和光大学 表現学部 総合文化学科/教授)、北村明子
※3/11(土)13:00のチケットをお持ちのお客様は、終演後そのままのお席でご参加いただけます。
※他の日程のチケットをお持ちのお客様は、公演終了後より先着順でご入場いただけます。チケットの半券、あるいは、チケットをお持ちください。
※定員になり次第ご案内を終了いたします。ご了承ください。
< profile >
坂井弘紀(SAKAI Hiroki)
和光大学表現学部教授
専門は中央ユーラシア文化史、テュルク口承文芸研究。論文に「英雄叙事詩とシャマニズム:中央ユーラシア・テュルクの伝承から」(『和光大学表現学部紀要』15号、2015年)、「英雄叙事詩とシャマニズム2:中央ユーラシアの叙事詩語りとシャマン」(『和光大学表現学部紀要』19号、2019年)などがある。
音楽・作曲:横山裕章(agehasprings)
映像・美術:兼古昭彦
ドラマトゥルク:荒谷大輔
ウズベキスタン・コーディネーター:アドハム・アシーロフ、和崎聖日
ダンス:ミンテ・ウォーデ、岡村樹、香取直登、
川合ロン、北村明子、黒田勇、近藤彩香、西山友貴
歌・作曲:アフロル・バフシ、ダイアン・キャノン
2023年3月10日(金)~3月12日(日)
3月10日(金)19:30~
3月11日(土)13:00~ / 18:00~
3月12日(日)13:00~
※受付開始60分前。ロビー開場は30分前
東京芸術劇場 シアターイースト(〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1)
※学生券は要証明書
※未就学児童はご入場いただけません
※車椅子でのご来場をご希望の方はオフィスアルブまでお問い合わせください
Staff
舞台監督:川口眞人(レイヨンヴェール)、杉山小夜
音響:田中裕一(サウンドウェッジ)
照明:岩品武顕(with Friends)
衣裳:さとうみち代
制作:福岡聡(カタリスト)
制作補:林慶一
宣伝美術:GOAT
フライヤービジュアル撮影:大洞博靖
主催:一般社団法人オフィスアルブ
後援:アイルランド大使館、駐日ウズベキスタン共和国大使館
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)独立行政法人日本芸術文化振興会、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、Culture Ireland
協力:公益財団法人セゾン文化財団
“Echoes of Calling project”について
Profile
北村明子 Akiko Kitamura / 企画・構成・演出・振付
ダンサー・振付家 信州大学人文学部教授
バレエ、ストリートダンス、インドネシア武術を学び、早稲田大学大学院文学研究科在学中の1994年ダンス・カンパニー、レニ・バッソを創設。1995年文化庁派遣在外研修員としてベルリンに留学。帰国後、2001年代表作『finks』を発表。世界60都市以上で上演され、モントリオールHOUR紙の2005年ベストダンス作品賞を受賞。2003年American Dance Festival(USA)からの委託作品『enact oneself』はベストダンス・オブ・ザ・イヤー(ノースカロライナ州)に選出。
2010年よりソロ活動として、リサーチとクリエイションを行う国際共同制作プロジェクトを展開。これまでにインドネシアとの国際共同制作、東南~南アジア国際共同制作を行い、国内外で上演。2018年に発表した『土の脈』は、第13回日本ダンスフォーラム大賞を受賞。2020年よりアイルランド~中央アジア~日本を越境する を始動。2020/2021年度文化庁文化交流使。
「身体の思考」をもとに、創造活動をはじめ、演劇、オペラ、映画、CMへの振付・出演など、幅広く活動を行いながら、大学では、身体論、演出論、舞踊論の視点から「メディアとしての身体」をテーマに研究を行う。
アフロル・バフシ・ホーシュワクトフ / 歌・作曲
1995年5月7日生 カシュカダリヤ州チラクチ郡出身。
ウズベキスタンの叙事詩の語り手/語り部。祖父はソ連時代初期に「大衆扇動」の冤罪によりシベリアへの流刑に処され、1991年のソ連解体後、ウズベキスタン政府により「国民バフシ」の称号を得た同国を代表するシャームラード・バフシ・トガエフ。彼から直接バフシの技芸を習得し、結婚式や割礼での祝宴の場で、「アルパミシュ」などの伝統的な叙事詩や、即興詩をドンブラの旋律にのせて歌う。また、バフシとしての活動の場をウズベキスタン・ポップ・ミュージック界にも広げ、伝統芸能と現代ポップスの融合を図るアーティストである。国内外の音楽・芸術祭で受賞多数。2019年国際バフシ・フェスティバルにおいて「最も現代的なバフシ」部門にノミネート。 2019-2021年においては「最優秀バフシ」に選ばれる。
ミンテ・ウォーデ Minte Wolde / ダンス
アイルランドのリムリック大学コンテンポラリーダンスコース修士卒業。エチオピア出身のダンサー・振付家であり、2016年からアイルランド在住。John Scott dance companyに所属し、2020年に Mintesinot Wolde Danceを設立。即興により身体感覚の自発的な運動を表現へと昇華する舞踊創作方法を得意とし、また、エチオピアをはじめとする多様なアフリカの民族舞踊と、現代の舞踊表現との融合を図る。心技共に独創的な舞踊言語を提示し、アイルランドのコンテンポラリー・ダンスシーンにおいて新たな振付方法を探求し、舞踊作品創作を展開している。
Website:https://www.mintedancestudio.com
ダイアン・キャノン Diane Cannon / 歌・作曲
伝統歌唱シャンノースの歌手。アイルランド北西部ドニゴール州の数世紀に渡る伝統を受け継ぎ、ケーリー(グループダンスのパーティー)で暖炉の火の傍らで奏でられてきた歌と音楽を、21世紀の観客の洗練されたテイストに合わせて届けている。
アイルランド語圏であるドニゴール州中部、風光明媚なエリガル山とトリー島・イニッシュボフィン島の間に位置するミーンララー生まれ。父方・母方の祖父母全員が著名な音楽家や歌手という環境で、豊かな音楽的才能を育んだ。子どもの頃から様々なコンテストで好成績を収め、1890年代から続いているアイルランドのアートフェスティバル「Oireachtas na Gaeilge」において、権威ある「Comortas Cuimhneacháin Shéain Óig Uí Thuama」にて優勝。
批評家たちから絶賛されたシングル『Séan Ó Duibhir a’ Ghleanna』に続き、ドナルド・ショー、マイケル・マクゴールドリック、ニール・マーティン、チャーリー・マッケロンらアイルランド音楽界を率いるミュージシャンたちの協力のもと、デビューアルバム『Idir Mhuir agus Sliabh』を発表。現在のケルト音楽シーンを代表するバンド「アルタン」のヴォーカリスト、マレード・ニ・ウィニーも参加し、ダイアンの祖父マヌス・キャノンから習った歌を披露している。
info@akikokitamura.com / 070-7528-7065(10-20時)